映画「SEED〜生命の糧〜」を観ました

今月1日、パルシステム山梨主催の映画上映会にて
ドキュメンタリー映画「SEED〜生命の糧〜」を鑑賞してきました。

20世紀中に、90%以上の種子が消滅したこと。
種子の多様性が失われつつあること。

遺伝子組み換え種子によって莫大な利益を上げている多国籍企業。
その種子の代金が払えず自殺する農家。
試験栽培地からの農薬飛散(※遺伝子組み換え種子は必ず農薬とセットです)
により健康被害に苦しむ近隣住民。

種子を守るために、世界各地で奮闘する人々。

現在、種子をめぐり起こっていることが描かれています。
個人的には知っていることも多かったですが、とても見ごたえのある映画でした。
機会があれば、ぜひ観ていただきたいです。



私たちが農業と食に興味をもったきっかけも、今思えば種子でした。

5年前、F1種と固定種のことを初めて知り、
それはそれはショックを受けました。

F1種は一代雑種とも呼ばれ、
異なる特性を持つ親を人為的に掛け合わせる(これは遺伝子組み換えではありません)
ことで、一定の形質を持つ子が生まれます。

でもその形質は二代目には引き継がれず、
F1種からできた野菜から種を採って播いても、親と同じ形質にはなりません。
「一代限りの種子」なんです。
つまり、このF1種の野菜などを育てようとした場合、毎年種を買わなくてはなりません。

片や、固定種は親から子へと
固定された形質が受け継がれている種で、在来種もその仲間です。
生育にバラつきがありますが、その分よりよい種を選抜していくことができます。
種採りを繰り返していくと、どんどんその土地にあった、育てやすい種に変わっていくそうです。

猛暑にも耐え、全長35mm以上に育った花豆を種用に残す。
土地・気候への順応性が年々高くなっていくはず



ちなみに、現在スーパーなどで売られている野菜はほぼF1種です。
F1種は成長が均一で、工業製品のようにキレイに箱詰めできるので、
出荷・販売するのに都合がよいからだそうです。

言ってしまえば、自然の循環からはずれた、異常な種からできた野菜を
当たり前のように食べている…その事実を知った時はゾッとしました。



そして、 F1種は成長が早い=細胞組織が緻密でないこともあってか、
固定種よりも味や香りが薄いそうです。
確かに、自分で固定種の黒田五寸人参を育てて食べたことがありますが、
そこらで売っている人参よりも香りが強くて、すごく美味しかったことを覚えています。

前回お話したルネサンスごはんが考案されたのも、
味の薄い野菜を調味料の味で食べている、
現在の食の隠れた問題があってのことだと思います。
昔はもっと野菜に味があって、濃い味付けをしなくても美味しかったはずです。

弓田さんは「本当に美味しいものには栄養がある」と言っていますが、
実際、現在では野菜に含まれる栄養素はかなり減少しています。
種の問題、食の問題がつながっていると気づきました。



「固定種の野菜が食べたい」
「でも売ってないから自分で作るしかない」
「種を守りたい」
という気持ちが、今の私たちの農業につながっています。



2年前、三富の小さな個人商店で買った紫花豆とうずら豆。
この地域でつくられてきた、宝石のような豆を受け継いでいきたいという
思いを新たにしました。

映画を観た日の夜、茹でた大福豆と花豆、鹿肉のベーコンでスープを作りました